加戸守行 前知事に聞く シリーズ⑤

<政治家の発信力は言葉の力>

――中村知事も就任からもう1年が過ぎました。

「すごいと思います、感心ばかりしています。とにかく発想力が豊かですし、突き進んでいくタイプですよね」

――具体的には。

「例えば東日本大震災で高校生の修学旅行を愛媛県が基金で引き受けるとか。ああいう発想は私にはパッと出てこないなぁ(笑)。しかも県の財政負担で受け入れるというのでは納得を得られにくいから、県が少しを出して基金をつくりあとは民間の支援を仰いだ。あの手法はすごいです」

――松山市長時代から行動力が印象的でした。

「東奔西走、とにかくよく体が動きます。年齢もあるけど自分ならぶっ倒れている(笑)。強力なスタミナというか、『健全なる精神は健全なる身体に宿る』という格言の通りです」

――首長はオーケストラでいえば指揮者です、その腕前をどう?

「彼の場合は桶狭間の戦いで疾風のごとく単騎で駆けていく織田信長というイメージが強い」

――出陣の速さに多くの家来たちは追随できず、慌てふためいて後を追った。

「要するに彼の行動スピードに職員は合わせなければいけない。あれだけ鍛えられていけば、すぐに『精鋭・中村軍団』に育っていくと思います」

――一方で大阪市の橋下市長のように、ある意味で強い発信力を持つ首長という方がいる。あの発信力とは何でしょう。

「それは言葉の力じゃないですか?表現力だと思いますよ。橋下さんはちょっぴり品がないかもしれないが『ぼったくりバ―』とかどぎつい言葉を駆使する。そうするとマスコミもとびつきやすいし、報道されればまた人気が上がる(笑)」

――「ことばの力」といえば松山市の行政のキーワード、こりゃあ負けちゃいられない(笑)

「小泉さんだって総裁選で『自民党をぶっ壊す』と言った。あのひと言が小泉さんなら政治の閉塞感を打開してくれるのではないかと期待をさせた」

――ワンフレーズでも分かりやすい言葉…。

「そうですね、いかにインパクトのある言葉を使える人かどうかが発信力のある人と言える。反面、橋下さんはバーンと出した言葉を見事に変えますけどね」

――切り替えの速さ?

「そう、これはダメだと思ったら素早く切り替えています。あれがまだもっている理由じゃないですか(笑)」
――みんなの党の渡辺喜美さんなんかも面白い表現を使う(笑)

「確かに。でも総理大臣になってもらってはどうかなという懸念はありますが(笑)」

――さて、遅かれ早かれ総選挙があります。政界地図は塗り替えられるでしょうか。

「民主党、自民党のどちらが政権をとっても参議院が現状のままである限り結局、公明党がキャスチングボードを握るという構図は変わらないんじゃあないかと思います。公明が自民と組むか、民主と組むのかというだけのことでは」

――新党に期待はできない?

「ご高齢の方が多いですよね、〝後期高齢新党〟です。一服の清涼剤にはなりますが(笑)」

――愛媛の維新の会も衆院候補擁立の動きがあるとか。

「どうですかね。中村さんは橋下さんには共鳴しているけれど維新の会の広域連携とか、結構際どいところで慎重です」

――大阪は橋下さんあっての維新の会、愛媛も中村さんの肝いりで維新の会が産声を上げた。中村さんが前面に出る出ないがコトの成否を握ると思います。

(聞き手 立花慶三)

 

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